昨日の続きで、東海道歩きについての日誌です。
9月18日夜には近鉄四日市駅近くで宿泊したわけですが、テニスウェアを着ている客が多いような気が……朝食の時にそれは確信に変わりました。テニスウェアだらけ。中には岩手県というゼッケンを付けている客まで。昨晩あちこちのビジネスホテルに電話をかけた時に「団体で満室」だった理由が分かりました。どうやら三重で全国規模のスポーツの大会がある様子。後で調べてみると、丁度この三連休に、スポーツマスターズ三重大会というものが開催されていたそうです。参加者約7,000人。そりゃあ、ビジネスホテルも一杯になるわな。
朝食を終えた私は、近鉄で前日の中断地点、益生駅まで引き返しました。しばらく住宅街になっている旧道を歩きます。やがて町屋川に掛かる町屋橋に辿り着きます。常夜灯がありましたが、その先の旧道に橋は無し。嘗ては木造の橋がここに掛かっていたそうですが、現在は、すぐ横の国道一号線に橋が掛かっています。一旦国道に合流して、橋を渡ってすぐまた旧道を歩きます。この辺りには「御厨」と付いた神社が随分ありました。後で調べると、中世に力を持っていた有力な神社の荘園を意味する言葉だそうです。三重と言えば伊勢神宮。伊勢系の荘園に配置された神社というわけか。存外政治的な意味合いのネーミングでした。
しばらく進むと、朝明川を渡ります。近くはまたも常夜灯。丁度その辺りで伊勢湾岸自動車道の下をくぐるのですが、信号機を見上げると、そこには「柿」と書かれていました。かき交差点? 昔ここに柿の木でも生えていたのでしょうか……ふと思い出したのは、茨城にある「鯨」という交差点。茨城県でも比較的埼玉に近い辺りで、海はそう近くないのに、「鯨」。かつては海に近かったのでしょうか。
続いて旧道を歩きます。歩道が無い部分が多い割に車の通りがあり、歩き難い道です。ふと見上げると、その道の前方遥かまで、道をの上にまたがっている電線の中間点に何やら灰色の萎んだポンポンのような物が付いています。うーむ、何だろうか、これは? 何かの目印?
近鉄富田駅そばにある一里塚を過ぎて、更に旧道を西へ。道端に「くわなのつめたいおやつ あいすまんじゅう」の幟がありました。興味あり! アイスまんじゅうと言えば、私の中では九州の丸永製菓のずんぐりしたアイスバーを思い浮かべるのですが、桑名名物なのか!? 生憎幟を出している所は店には見えず、店だとしても営業していない様子なので断念。あとで調べてみると、桑名の方が発売が早いものだそうです。九州名物とばかり思っていました。
と、ここいらで旧道がT字路で突き当たりになってしまい、道のチョイスを誤って迷ってしまいました。逡巡する事しばらく、またまた携帯のコンパスの頼りになってしまいました。住宅街でコンパスで道を確認している私って……
しばらく進んで右側から一号線に合流した後、左側に抜けて再び旧道です。多度神社と三ツ谷一里塚を見て、川を二つ渡ると、「四日市宿」が近付いてきます。「笹井屋のなが餅」という名物菓子の店がありました。あいすまんじゅうを食べ損ねた私は、取り敢えずその最小サイズを購入(7個入り)し、公園で一休みしながら食べました。
商店街等のある市街地に近付きました。昼頃にようやく今朝起きた町まで辿り着きました。幟等で、首の長い大入道のイラストを何箇所かで発見。四日市の祭りに出て来る山車の一つがこの首が伸びる大入道だそうです。身の丈3.9mで、首が2m伸びるとか。四日市市のシンボルキャラクターだそうです。待てよ? 先程、道にまたがる電線にポンポンが付いていたのが疑問だったのですが、もしかしたら、あの道にも大入道が通るのでは? そして、その首が引っ掛からないようにするための目印とか? この推理の正否は分かりませんが……
しばらくする国道一号等太い道が交差するあたりに「日永追分」がありました。道に囲まれた三角州のような状態で鳥居と道標があります。ここを右に抜け更に進みます。内部橋を渡り、杖衝坂という坂を上ると、小高い所に出て、国道合流します。見ると、随分な斜面に、もうけられたゴルフ練習場がありました。うーむ、あそこに書いてあるヤード数は果たしてあてになるのだろうか? 下世話な詮索はこの辺にしておいて、国道に合流して進み、再び旧道に入った辺りで、年配の男性(以下T氏)に声を掛けられました。この方も街道歩きをしているそうで、しばらく一緒に歩く事に。
やがて「石薬師宿」に到着。石薬師と言うからには、薬師如来の石仏がある筈……石薬師寺という寺があったので、T氏には先に行って貰い、寺を観ました。本尊は見られなかったのですが、境内にある頭でっかちの石仏群がなかなか面白くて、しばらく見て居ました。
再び国道一号線に合流して、合流したり別れたりしなが「庄野宿」に到着。この辺りで、先程のT氏と再び一緒になりました。歩行速度は私の方が速いのだなあ……と内心調子に乗っていたら、この方は、東海道歩きは始めてから13日目との事。私は20日目……ガーン、全然俺の方がペース遅いやないか! さて、この辺りにはやたらと「川俣神社」という神社が多いです。その中の一つに、樹齢推定300年というスダジイの巨木がありました。巨大で古いのに葉はみずみずしい……古来、木が神格化されるのもよく分かる気がします。
国道に合流したり離れたりが続きます。ふと振り返ると、東(私が背を向けている方角です)に気球が3つ程浮かんでいました。気球を飛ばすイベントでもしているのでしょうか。無人駅の井田川駅を過ぎて、再びふと東の空を見ると……うわっ!!? 気球が10も20も浮かんでいます。多過ぎ! 後で調べてみると、「鈴鹿バルーンフェスティバル」という催しがあったそうです。
日が傾いて暗くなってきています。瓦葺の3階建てマンションという何やら気になる物件を脇目に道を急ぎます。目指すは今日のゴールに想定している「亀山宿」です。カメヤマローソクの工場がありました。蝋燭の国内トップ企業(シェア50%)です。本社は大阪ですが、創業の地がここ亀山なわけです。「亀山宿」到着のめどが立ち、今夜の宿を探して電話を掛けた後休憩していると、T氏と遭遇。ともに亀山を目指します。暗くなって、私は亀山駅近くのビジネスホテルに。T氏は、もう少し先のホテルを取ってあるとの事で、まだ先に進みます。私とT氏のペースの違いは、朝の早さとその日の目標地点まで歩く根性にあるのだなあ……
東海道五十三次(20)歩行距離:31.7km(日本橋〜422km)
駅員@初めての 旅は道連れ 東海道
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